福井以外のメガネ産地はどこ?世界三大眼鏡産地と日本・海外の主要生産地を解説

メガネ、サングラス

日本で「メガネの産地」といえば福井県、特に鯖江市を思い浮かべる人が多いでしょう。しかし、眼鏡フレームの生産地は福井だけではありません。海外まで視野を広げると、イタリア北東部のベッルーノ、中国の深圳・温州など、眼鏡産業が集積している地域があります。

眼鏡産地を比較するときに重要なのは、単純な生産量だけではありません。高級フレームを得意とする地域、大量生産に強い地域、デザインやブランドビジネスまで含めて発展した地域など、それぞれ異なる特徴があります。

ここでは福井・鯖江がどのような産地なのかを確認したうえで、日本国内の状況と、イタリアや中国を中心とした世界の主要な眼鏡産地について整理します。

日本最大のメガネ産地は福井県・鯖江を中心とする地域

日本の眼鏡産業を語るうえで中心となるのが福井県です。一般には「鯖江のメガネ」という呼び方が有名ですが、産業集積は鯖江市だけに限定されているわけではなく、福井市や越前市などを含めた福井県内に関連企業が存在しています。

福井県眼鏡協会によれば、福井・鯖江は100年以上にわたり眼鏡づくりを続けてきた産地です。福井県内には眼鏡枠や関連部品を製造する企業が集まり、企画、材料加工、部品製造、表面処理、組み立てなどを分業する産業構造が形成されています。

そのため「福井以外に日本国内の大規模な眼鏡産地があるのか」という観点では、福井の存在感が非常に大きいと考えると分かりやすいでしょう。福井県眼鏡協会の公式サイトでは産地の歴史や技術について詳しく紹介されています。[参照:福井県眼鏡協会]

なぜ鯖江がメガネの産地になったのか

福井に眼鏡づくりが根付いた背景には、明治時代の農村に新しい副業を作ろうとした取り組みがあります。1905年(明治38年)、増永五左衛門が大阪から眼鏡職人を招き、地域へ製造技術を導入したことが福井の眼鏡産業の始まりとされています。

その後、一人の職人が完成品まですべて製造するのではなく、それぞれの工程を専門とする職人や企業が技術を磨く分業体制が発達しました。こうした集積によって、眼鏡に必要な高度な加工技術を地域全体で蓄積できたことが産地として成長した大きな理由です。

さらに福井では1980年代にチタン製眼鏡フレームの研究・量産化が進みました。チタンは軽く、耐食性などにも優れる一方で加工が難しい素材です。この難加工材を眼鏡フレームへ活用する技術も、福井・鯖江の知名度を高める要素となりました。

日本国内では福井以外にも眼鏡関連企業は存在する

もちろん、眼鏡を製造・企画する企業そのものは福井県外にも存在します。東京や大阪などには眼鏡ブランド、商社、デザイン会社、小売企業などがあり、商品の企画や販売という意味では全国各地が眼鏡産業に関わっています。

ただし「産地」という言葉を、フレームメーカー、部品メーカー、加工会社などが地域内に集積し、継続的に製造を行う場所という意味で使う場合、日本では福井県が突出した存在です。

したがって、「福井と並ぶ日本国内のもう一つの巨大な眼鏡産地」を探すより、海外の主要産地と比較したほうが眼鏡産業の全体像を理解しやすくなります。

イタリアの代表的なメガネ産地はベッルーノ

海外の眼鏡産地として非常に有名なのがイタリア北東部、ヴェネト州のベッルーノ県です。特にドロミーティ山地周辺の眼鏡産業は長い歴史を持ち、世界的な眼鏡メーカーや関連企業が集積しています。

イタリアの眼鏡産業団体ANFAOによれば、イタリアの眼鏡産業ではヴェネト州が中心的な地域となっています。ベッルーノ地区は眼鏡製造の歴史的な集積地として知られています。[参照:ANFAO]

イタリア産眼鏡の特徴としては、製造技術だけでなくファッションとの結び付きが強いことが挙げられます。世界的なファッションブランドのサングラスや眼鏡フレームの企画・製造にもイタリア企業が深く関わっており、デザインとブランドビジネスを含めた巨大な産業になっています。

ベッルーノは福井・鯖江と何が違う?

福井・鯖江とベッルーノはいずれも眼鏡関連企業が集まる地域ですが、産業の成り立ちや得意分野は同じではありません。

福井は精密加工、チタン加工、部品製造など「ものづくり」の技術力で評価されることが多く、国内外ブランドのOEM・ODMなどにも関わっています。一方、イタリアでは製造技術に加えて、ファッションブランドとのライセンス事業や世界規模の販売網を持つ大企業が存在することが特徴です。

例えば同じ高価格帯の眼鏡でも、「日本の精密な加工や掛け心地を重視したフレーム」と「イタリアのファッション性を前面に出したフレーム」というように、ブランドによって産地の特色が商品へ表れることがあります。ただし実際の商品は企画国と製造国が異なる場合もあるため、ブランドの国籍だけで生産地を判断することはできません。

中国にも巨大なメガネ産地がある

世界の眼鏡生産を考える際に欠かせないのが中国です。中国には眼鏡フレーム、サングラス、レンズ、部品などを生産する大規模な産業集積があります。

代表的な地域として知られるのが、広東省深圳周辺と浙江省温州です。深圳は香港に近く、輸出型製造業が発展した地域で、眼鏡関連企業も数多く集積してきました。温州も中国を代表する眼鏡製造拠点の一つです。

中国製というと低価格品だけを想像しがちですが、現在の眼鏡産業は幅広く、量産型の商品からOEM、高価格帯の商品までさまざまです。価格だけで製造品質を一括りにすることはできません。

深圳のメガネ産業で有名なのが横崗

深圳市の中でも眼鏡産業との関係が深い地域として知られているのが龍崗区の横崗です。長年にわたり眼鏡メーカーや部品・関連企業が集積し、輸出向け製品を含む生産拠点として発展してきました。

深圳が眼鏡製造で発展した背景には、香港に近い地理的条件、輸出産業の発展、サプライチェーンの集積などがあります。眼鏡だけでなく幅広い製造業が集中しているため、材料調達から加工までを効率的に行える環境があります。

この点では、多数の専門企業による分業によって技術を蓄積してきた福井とも共通する部分があります。「優れた工場が一社だけある」のではなく、材料、部品、加工、組み立てなどを担う企業群が地域に存在することが産地の強みになります。

浙江省温州も中国を代表する眼鏡生産地

浙江省の温州も、中国で眼鏡産業が盛んな地域として知られています。温州では多数の眼鏡関連企業が集まり、フレームやサングラスなどが生産されています。

中国の巨大な国内市場だけでなく、欧米やアジアなど海外市場向けの商品を製造する企業もあります。そのため世界の眼鏡流通を理解するうえでは、深圳と並んで注目される地域です。

同じ中国国内でも各地域の企業規模、得意な素材、価格帯、品質管理などは異なります。「中国産」という表示だけでは製品の特徴までは判断できないため、実際に眼鏡を選ぶ際にはメーカーやブランド、素材、製造方法なども確認する必要があります。

「世界三大眼鏡産地」と呼ばれる地域とは

眼鏡業界や観光情報などでは、日本の福井・鯖江、イタリアのベッルーノ、中国の眼鏡産業地域を「世界三大眼鏡産地」と表現することがあります。

ただし「世界三大眼鏡産地」は、世界共通の公的機関が厳密な基準で認定したランキングというより、主要な眼鏡生産地域を分かりやすく説明する際に使われる表現として理解しておくのが適切です。

中国についても資料によって「深圳」「温州」「中国」と表現が異なることがあります。そのため「三大産地」という名称だけを暗記するより、日本では福井、イタリアではベッルーノ周辺、中国では深圳・温州などに大規模な眼鏡産業が存在すると把握しておくと正確です。

主要なメガネ産地を比較

国・地域 代表的な産地 主な特徴
日本 福井県・鯖江周辺 精密加工、チタン加工、分業による高い製造技術
イタリア ベッルーノ県 眼鏡製造とファッション・ブランドビジネスの強い結び付き
中国 深圳・横崗 大規模な製造集積、輸出、OEMなど
中国 温州 フレームやサングラスなど幅広い眼鏡製造

この比較から分かるように、産地ごとに得意分野や産業構造が異なります。その違いが、眼鏡の商品企画や価格帯、ブランド戦略にも影響しています。

「日本製メガネ」と「鯖江製」は同じ意味ではない

眼鏡を購入するときには「日本製」と「鯖江製」を混同しないことも重要です。日本製という表示は製造国を示すものであり、必ずしも鯖江市だけで作られたことを意味するわけではありません。

また眼鏡は多数の工程と部品から構成されるため、企画、部品製造、表面処理、最終組み立てなどに複数の企業や地域が関わることがあります。ブランド所在地と製造場所が一致しないケースも珍しくありません。

産地を重視して購入する場合は、ブランド公式サイトの商品説明や原産国表示を確認するのが確実です。「SABAE」など産地を明確に訴求している商品でも、その表示が何を意味するのかをメーカーの説明まで確認するとよいでしょう。

まとめ:福井以外ではイタリア・ベッルーノや中国の深圳・温州が有名

日本を代表する眼鏡産地は、鯖江市を中心とした福井県です。福井には100年以上にわたって眼鏡関連企業と職人が集積し、現在も日本の眼鏡製造を代表する地域となっています。

一方、世界へ目を向けると、イタリアのベッルーノ、中国の深圳・横崗や温州なども代表的な眼鏡産地です。福井が精密加工やチタンフレームなどの技術で知られるのに対し、イタリアにはファッションブランドとの結び付き、中国には巨大な生産能力とサプライチェーンという特色があります。

したがって「福井以外のメガネの産地」を探す場合、日本国内だけで考えるより世界の眼鏡産業まで視野を広げると分かりやすくなります。眼鏡を購入するときもブランド名だけではなく、原産国や製造地域、素材、メーカーの説明を確認すると、その一本がどのような背景で作られたのかまで楽しめるでしょう。

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