耳のほくろにピアスを開けたらどうなる？医師が解説する安全性と注意点

耳にあるほくろの上にピアスを開けようと考えている方にとって、「ほくろは消えるのか？」「再発の可能性はあるのか？」という疑問は非常に気になるポイントです。本記事では皮膚科的な観点から、ピアスホールとほくろの関係性について解説します。

ほくろとは何か？皮膚構造の基本

ほくろは、皮膚の色素細胞（メラノサイト）が一部に集まってできた良性の腫瘍です。皮膚の浅い層にあるものは「境界母斑」、やや深く存在するものは「複合母斑」や「真皮内母斑」と呼ばれます。

つまり、ほくろの「芯」は表皮だけでなく、真皮にも及ぶことが多く、表面から一部を傷つけた程度では消えにくいのが特徴です。

基本的に、ピアスホールは皮膚を貫通する小さな傷です。仮にほくろの上にピアスを開けたとしても、表面の皮膚やごく一部の真皮しか破壊されず、ほくろ全体を取り除くわけではありません。

そのため、ピアスを開けた後もほくろが完全に消えることは稀であり、むしろ再生や色素沈着によって目立つケースも報告されています。

ピアスをやめてホールがふさがった場合、ほくろの元になるメラノサイトが残っていれば、時間の経過とともに再び色素が現れる可能性があります。

特に、元々濃い色をしていたほくろや膨らみがあった場合、再発率が高い傾向にあります。再発というよりは「もとに戻った」と考えた方が自然です。

ある20代女性は、耳たぶにある小さなほくろの上にピアスを開けたところ、数ヶ月後に周囲が赤く腫れ、色も濃く変化しました。皮膚科を受診したところ、色素異常と診断され、ピアスを外して経過観察となりました。

このように、軽い処置でもほくろに変化が出る場合があるため、慎重な対応が求められます。

耳のほくろにピアスを開けた場合、それによってほくろが消えるとは限りません。むしろ、再発や色素異常のリスクもあるため、安全性と見た目のバランスを考慮する必要があります。気になるほくろがある場合は、まず皮膚科専門医に相談し、リスクを十分理解したうえで判断しましょう。