ETA2801-2のオーバーホール後に片振りが変化する原因とは?調整後に正常化する理由を解説

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ETA2801-2などの手巻きムーブメントをオーバーホールした後、タイムグラファーで測定すると片振りが大きく表示されるものの、しばらく動かすと正常値になるという現象があります。このような場合、単純な調整不足だけではなく、機械式時計特有の部品のなじみや油の状態、テンプ周辺の挙動など複数の原因が考えられます。この記事では、ETA2801-2で起こりやすい片振り変化の原因や確認ポイントについて詳しく解説します。

片振りとは何を示しているのか

片振りとは、テンプが左右に振れる際の時間差を示す数値です。機械式時計では、アンクルがガンギ車を解放するタイミングと、テンプの往復運動のバランスが重要になります。

タイムグラファーでは通常、片振りの数値が小さいほどテンプの振りが均等で、調整状態が良いと判断されます。一般的には0.0〜0.5ms程度であれば良好な状態とされることが多く、3.5msという数値はかなり大きなずれを示します。

ただし、測定直後だけ片振りが大きく、その後正常になる場合は、常に調整不良とは限りません。時計内部の状態が安定するまでの過程で数値が変化することがあります。

オーバーホール直後に片振りが変化する主な原因

オーバーホール直後に片振りが安定しない原因として考えられるものの一つが、テンプ周辺の油や部品のなじみです。洗浄後に注油された部品は、最初の動作では油が均一に広がっていない場合があります。

例えば、テンプの軸受け部分やアンクル周辺の潤滑状態が動作によって安定すると、振り角や振動状態が変化し、片振りの測定値も改善することがあります。

質問のように15分程度動作させることで0.0になる場合は、初期状態から機械が安定状態へ移行している可能性があります。

テンプのヒゲゼンマイが原因になる場合

機械式時計の調整で特に注意が必要なのがヒゲゼンマイです。ヒゲゼンマイの絡みや偏り、ブレゲヒゲの状態、コレット部分の位置などによって、片振りが変化することがあります。

オーバーホール後、一時的にヒゲゼンマイの形状が安定していなかったり、磁気や静電気などの影響を受けたりすると、測定開始時だけ異常な値になることがあります。

具体的には、時計を動かし始めた直後はヒゲゼンマイが十分に広がっていないものの、数分から十数分動作することで自然な形に戻り、片振りが改善するケースがあります。

ゼンマイの巻き上げ状態による影響

ETA2801-2のような手巻きムーブメントでは、ゼンマイの巻き上げ状態も測定結果に影響します。巻き上げ直後はトルクが強く、テンプの振り角や脱進機の動作が通常とは異なる場合があります。

特にオーバーホール後は、ゼンマイや香箱周辺の油がなじむまで、動作が安定しないことがあります。数日後に再測定しても同じ現象が起こる場合は、単なる初期なじみだけではなく、別の要因も確認する必要があります。

測定する際は、完全巻き上げ直後だけではなく、ある程度動作させた状態でも確認すると、ムーブメント本来の状態を判断しやすくなります。

ETA2801-2で確認したい調整ポイント

片振りが時間経過で改善する場合でも、時計師が確認すべきポイントはいくつかあります。代表的なものとして、テンプ受けの固定状態、ヒゲ持ちの位置、アンクルの状態、振り石と爪石の関係などがあります。

例えば、テンプ受けや緩急針周辺にわずかな遊びがある場合、動作開始時と安定後で状態が変わることがあります。また、ヒゲゼンマイの中心出しが完全でない場合も、姿勢差や時間経過によって測定値が変化します。

そのため、タイムグラファーの数値だけを見るのではなく、実際の歩度、振り角、各姿勢での変化を総合的に確認することが重要です。

修理や再調整が必要か判断する目安

動作開始後すぐに片振りが3.5msでも、毎回短時間で0.0付近まで安定する場合は、重大な故障とは限りません。しかし、長期間使用した場合に再発する、姿勢によって大きく変化する、歩度が安定しない場合は再調整を検討した方がよいでしょう。

特にオーバーホール直後であれば、施工した時計店や時計師に測定結果を伝えることで、ヒゲゼンマイや脱進機周辺を再確認してもらえる場合があります。

ETA2801-2は構造が比較的シンプルで調整性の高いムーブメントですが、精度を引き出すには細かな調整が重要です。

まとめ

ETA2801-2をオーバーホールした後、片振りが一時的に3.5msになり、その後0.0になる場合は、油のなじみやテンプ周辺の安定、ヒゲゼンマイの状態などが原因として考えられます。

ただし、毎回同じ現象が起こる場合は、完全に問題がないとは言い切れません。タイムグラファーの数値だけで判断せず、振り角や歩度、姿勢差なども合わせて確認することが大切です。

機械式時計は微細な部品の組み合わせで動いているため、オーバーホール後の挙動を正しく観察することが、長く安定して使用するためのポイントになります。

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