舌ピアスを開けて数日から1週間ほどすると、腫れや違和感だけでなく、ピアスホール周辺から白色や黄色っぽい液体が出ることがあります。治癒過程でも薄い色の分泌物がみられることがある一方、膿を伴う感染症でも似た症状が現れるため、色だけで自己判断するのは適切ではありません。
特に舌は血流が豊富で、口腔内には多数の細菌が存在します。舌ピアスでは感染、出血、歯や歯茎の損傷のほか、強い腫れによって気道に影響する重い合併症も報告されています。開けたばかりの舌ピアスに異常がある場合は、単なるピアストラブルとして放置しないことが重要です。
舌ピアスを開けた直後には腫れや分泌物がみられることがある
新しい舌ピアスでは、最初の数日間に痛みや腫れが生じること自体は珍しくありません。米国歯科医師会(ADA)も、口腔ピアスでは施術後5日程度まで痛みや腫れが起こり得ると説明しています。
また、新しいピアスでは薄い色の液体が出て乾燥し、かさぶたのようになる場合があります。そのため、白色や薄い色の分泌物があるという一点だけで感染しているとは断定できません。
一方、白・黄・緑色の明らかな膿、悪臭のある分泌物、熱感、強い赤み、増加する腫れや痛みなどは感染を疑うサインです。舌ピアスでは通常の治癒反応と感染症を見分けにくいこともあるため、症状の変化を総合的に見る必要があります。
一度外れた舌ピアスを入れ直した後の炎症には注意
治癒途中のピアスを触ったり動かしたりする行為は、組織への刺激になるだけでなく、手などから細菌を持ち込む原因にもなります。ADAは、口腔内のジュエリーを手で操作することが感染リスクを高める可能性を指摘しています。
例えば、開けて数日しか経っていないピアスが外れ、自分で再びシャフトを通した直後から赤み、腫れ、分泌物などが増えた場合には、単なる治癒過程だけでなく、再挿入による傷や感染も考える必要があります。
「痛くないから感染ではない」とも言い切れません。痛みの程度だけでは判断せず、分泌物の性状、悪臭、腫れの増減、発熱や全身状態なども確認することが重要です。
感染が疑われる舌ピアスは医療機関で確認する
白・黄・緑色の膿が出る、腫れや赤みが増える、患部が熱を持つ、悪臭がする、発熱や悪寒、体調不良があるといった場合には感染症の可能性があります。NHSは、ピアスの感染が疑われる場合には速やかに医療機関へ相談するよう案内しています。
舌は口の中にあるため、悪化した腫れが飲み込みや呼吸に影響する可能性があります。舌や喉の腫れが急速に強くなる、息苦しい、飲み込みにくい、唾液も飲み込みづらいなどの症状があれば、通常の受診を待たず緊急の医療対応が必要です。
口腔内の症状であることから、歯科・口腔外科などへの相談が選択肢になります。感染が疑われる場合には、状態に応じて医師・歯科医師による治療が必要になることがあります。
感染が疑われても自己判断でピアスを抜かない
「膿んでいるならピアスを外せば治る」と考えがちですが、感染が疑われるピアスを自己判断で外すことは避けた方が安全です。NHSでは、医師から外すよう指示されない限り、感染が疑われる場合でもジュエリーを残しておくよう案内しています。
反対に、治りかけのピアスを何度も抜き差ししたり、シャフトを必要以上に動かしたりすることも刺激になります。まず専門家に状態を確認してもらい、ジュエリーを残すか交換・除去するかについて指示を受けるのが適切です。
シャフトが舌に食い込んでいる、ボール部分が組織に埋まり始めているといった場合にも自己処置は避けましょう。口腔ピアスではジュエリーが組織に埋没し、外科的な除去が必要になった例も報告されています。
舌ピアスを清潔に保つための基本的なケア
治癒期間中は、通常の口腔衛生を丁寧に続けることが基本です。ADAでは、フッ化物配合歯磨き剤と柔らかい歯ブラシを使った1日2回の歯磨きなどに加え、治癒期間中のアルコールを含まないマウスリンスの使用を案内しています。
食後に口の中を清潔にすることも重要です。ただし、刺激の強い薬剤を自己判断で患部に塗ったり、必要以上にピアスを触ったりすることは避けます。触れる必要がある場合には、事前に手を十分洗うことが基本です。
最初は腫れを想定して長めのシャフトが使用され、その後、腫れが引いた段階で短いものへ交換する場合があります。この交換についても、自分だけで判断するのではなく、施術を受けた専門のピアサーや医療従事者に適切な時期を確認すると安心です。
舌ピアスは治った後にもトラブルが起こることがある
舌ピアスは感染だけに注意すればよいわけではありません。ジュエリーが歯に繰り返し当たることで、歯の欠けや摩耗、歯肉退縮などにつながることがあります。
特にボール部分を歯で噛んだり、舌でピアスを動かす癖がある場合は注意が必要です。治癒後も歯や歯茎に傷がないか定期的に確認し、異常があれば歯科医院で相談するとよいでしょう。
口腔ピアスにはこうした短期・長期のリスクがあるため、ADAは美容目的の口腔内・口周囲ピアスを推奨していません。リスクを理解したうえで、異常があった時に早めに対応することが重要です。
まとめ|黄色い分泌物や腫れがある舌ピアスは自己判断せず確認を
舌ピアスを開けた直後には、一定の腫れや薄い色の分泌物が生じることがあります。しかし、黄色や緑色の膿、悪臭、増加する赤み・腫れ・痛み、発熱などがあれば感染症を疑う必要があります。
特に治癒途中でピアスが外れ、再挿入した後から症状が変化した場合には注意が必要です。感染が疑われる時は自己判断でジュエリーを抜いたり薬を使用したりせず、歯科・口腔外科などの医療機関へ相談するのが安全です。
さらに、急激な舌や喉の腫れ、呼吸困難、強い嚥下困難などが生じた場合は緊急性があります。舌ピアスは気道に近い場所のトラブルであることを意識し、悪化を待たず適切な医療につなげることが大切です。


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