スーツにベストは必須?胸板が厚く既製品が入らない人のサイズ選びと着こなし方

メンズスーツ

スーツを着るとき、「ベストも着たほうが正しいのか」「胸板が厚くてベストだけサイズが合わない場合はどうすればいいのか」と悩むことがあります。結論からいうと、通常のビジネススーツではベストは必須ではありません。ジャケットとスラックスのツーピースだけでも、サイズがきちんと合っていれば十分に正式なビジネススタイルになります。

一方、スリーピースとしてベストを着る場合は、胸だけ苦しくてボタンが閉まらないものを無理に着るより、着ないほうが見た目も快適さも良好です。痩せ型でも胸郭や胸板がしっかりしている人は、一般的なS・M・Lというサイズだけでは身体に合わないことがあります。

ここでは、スーツにベストを着る必要がある場面、胸だけきつくなる原因、LLサイズでは胴回りが余ってしまう場合の解決方法、オーダーやお直しの考え方まで詳しく解説します。

スーツにベストは必須ではない

一般的なビジネスシーンで着るスーツは、ジャケットとスラックスのツーピースでもまったく問題ありません。ベストを追加したスリーピースは、必須アイテムというより、着こなしの選択肢の一つです。

AOKIでも、スーツ用ベストについて「着こなしを格上げする便利なアイテム」として紹介しており、ビジネスからフォーマルまで幅広く活用できるものとされています。つまり、通常のビジネススーツに絶対必要なものという位置づけではありません。[参照]

そのため、身体に合うベストがないのであれば、無理に着る必要はありません。ジャケット、シャツ、スラックス、靴のサイズと清潔感を整えるほうが、合わないベストを着るより自然です。

ベストを着るとフォーマル感は少し上がる

ベストを加えたスリーピーススーツには、ツーピースよりクラシックでドレッシーに見えるという特徴があります。結婚式などでは、ベストを取り入れることでフォーマル度や華やかさを高められます。

AOKIの結婚式向けの解説でも、ベストを合わせたスリーピースはフォーマル度が上がり、ジャケットを脱いでもきちんと感を保てる着こなしとして紹介されています。[参照]

ただし、これは「ベストを着なければ失礼」という意味ではありません。普通の仕事、就職活動、日常的なスーツ着用では、ツーピースが一般的です。特別にスリーピース指定がある場面でなければ、ベストなしで困ることはほとんどありません。

胸のボタンが閉まらないベストはサイズが合っていない

ベストを着たとき、胸の部分でボタンを留められない、あるいは留めると強い横ジワが出る場合は、基本的に胸囲に対してベストが小さい状態です。

スーツ用ベストはジャストサイズで着ることが重要で、AOKIも身幅が小さいと窮屈で動きにくく、大きすぎるとシルエットが崩れると説明しています。[参照]

「Sサイズのジャケットが入るから、ベストもSであるべき」と考える必要はありません。ジャケットとベストでは構造も必要なゆとりも異なります。特にベストは袖がなく身体に密着するため、胸囲や胸郭の影響が直接出やすいアイテムです。

痩せ型でも胸郭が大きい体型は珍しくない

体重が軽い、ウエストが細いということと、胸囲が小さいことは必ずしも同じではありません。肋骨の形や胸郭の大きさ、肩幅、背中の厚みなどによって、痩せ型でも胸周りだけ大きくなる人はいます。

例えば、ウエストに合わせればSサイズなのに、胸囲だけMやL相当という体型は十分あり得ます。その場合、既製品のベストは「胸に合わせると胴が余る」「胴に合わせると胸が閉まらない」という状態になりやすくなります。

これは身体がおかしいのではなく、既製服が想定している胸囲とウエストの比率に身体が合っていないだけです。既製品は多数の人に対応できる平均的な寸法で作られるため、胸と腰の差が大きい体型では合わないことがあります。

ジャケットS・ベストLLになること自体は問題ではない

服のサイズ表記は絶対的な身体サイズではありません。「ジャケットはSなのにベストはLLだからおかしい」と考える必要はありません。

同じブランドでもアイテムによって寸法設計が異なり、さらにブランドが変わればS・M・Lの基準自体も変わります。重要なのはタグの文字ではなく、実際に着たときに適切なフィットになっているかです。

ただし、LLのベストを選んで胸だけ合い、ウエストや背中が大きく余っているなら、そのLLが身体に合っているとは言えません。サイズアップだけでは解決できない体型差があると考えたほうがよいでしょう。

大きいベストを買って胴回りを詰める方法がある

既製品を使いたい場合の現実的な方法が、胸囲に合わせて大きめのベストを購入し、ウエストや背中をお直しで詰めることです。

例えばMでは胸が閉まらず、LやLLなら胸は楽に入るのであれば、胸が収まるサイズを選び、余った胴回りを補正できるかテーラーや洋服店へ相談します。一般に、服を大幅に大きくするより、大きい服をある程度詰めるほうが対応しやすいケースがあります。

ただし、肩位置、アームホール、Vゾーン、着丈まで大きく違っていると、単純なウエスト詰めだけではきれいにならない場合があります。購入前に店員へ「胸に合わせると腰が余る」と伝え、補正可能か確認するのがおすすめです。

背中のアジャスターだけでは解決できないこともある

スーツ用ベストには、背中にウエストを絞るためのバックベルトやアジャスターが付いているものがあります。この機能によって多少の胴回り調整は可能です。

例えば胸囲に合わせて1サイズ上げた程度であれば、背中のアジャスターを絞ることでシルエットを整えられる場合があります。

一方、SやMが入らずLLまで上げなければならない場合には、サイズ差が大きいため、アジャスターだけでは背中や脇に大量の生地が余ることがあります。その場合は補正かオーダーを検討したほうがきれいに仕上がります。

胸とウエストの差が大きいならオーダーベストが最も確実

既製品で「胸が入るサイズだと胴がブカブカ」という状態が何度も起こるなら、オーダーとの相性が非常に良い体型です。

オーダーなら胸囲、ウエスト、着丈などを個別に調整できるため、胸に必要なゆとりを確保しつつ、胴回りだけ絞ったベストを作れます。Global Styleも、既製品で自分に合うサイズ感のベストがない場合にはオーダースーツ専門店で仕立てる方法を案内しています。[参照]

ベストだけ単品でオーダーできる店舗もあります。ただしスリーピースとして着るなら、ジャケットと同じ生地を用意できるかも重要なので、スーツ購入時に一緒に相談すると最も自然に仕上がります。

ベストの正しいサイズ感は「胸だけ入ればいい」ではない

ベストは胸囲だけではなく、胸・ウエスト・着丈のバランスを見る必要があります。Global Styleでは、ボタンを留めたときウエストに引きジワが出ず、胸部分は首の後ろが浮かずフィットするサイズが理想と説明しています。[参照]

さらに、ベストの裾からシャツが見えない程度の着丈が必要です。短すぎるベストではシャツが露出し、逆に長すぎれば全体のバランスが崩れます。

つまり「ボタンが何とか閉まったからOK」ではなく、ボタンを閉じても胸や腰に不自然な引きジワがなく、背中も余りすぎず、シャツが裾から見えない状態が理想です。

一番下のボタンは基本的に留めない

ベストを着用するときは、一般的なシングルベストなら一番下のボタンを外して着るのが基本です。これは「アンボタンマナー」と呼ばれる着こなしです。

AOKIも、スーツ用ベストでは基本的に一番下のボタンを開けるよう紹介しています。腰回りの動きを確保し、シワを減らしてシルエットをきれいに見せるためです。[参照]

ただし、「胸の上側のボタンが閉まらない」という場合は、アンボタンマナーとは別問題です。一番下以外のボタンが胸に引っ張られて閉じられないなら、サイズ不足と考えるべきです。

無理に小さいベストを着るデメリット

胸板に対して小さすぎるベストを無理に閉めると、ボタンを中心に横方向へ強いシワが入り、せっかくスリーピースにしてもスマートに見えなくなります。

また、座ったり腕を動かしたりしたときに胸や背中へ強い圧迫感が出ます。ボタンや縫い目にも余計な負荷がかかるため、服自体を傷める原因にもなります。

ベストは身体を細く締め付けるための服ではありません。体のラインに沿いながら、呼吸や動作が自然にできる程度の余裕が必要です。

「ベストなし」のほうが格好いい場合もある

身体に合わないベストを無理に着るくらいなら、ベストなしでジャケットをきれいに着るほうがはるかにスマートです。

例えば、肩幅・胸囲の合ったジャケットに、適切な首回りのシャツ、きれいな丈のスラックスを合わせるだけでも十分に整ったスーツスタイルになります。

特に仕事や就職活動であれば、ベストの有無よりもジャケットの肩、袖丈、シャツの首回り、スラックス丈、革靴の手入れなどのほうが全体の印象に大きく影響します。

体型によって上下のサイズが違うのも珍しくない

ジャケットはS、スラックスはLというように上下でサイズが違う場合もあります。肩・胸・腰・太ももの骨格や筋肉量は人によって異なるためです。

こうした体型では、上下が同じサイズで固定されるセットスーツより、ジャケットとパンツを別々に選べる「セットアップ」タイプのほうが合わせやすい場合があります。

さらにスリーピースを作る場合は、ジャケット・ベスト・スラックスをそれぞれ身体に合わせられるオーダーが合理的です。サイズ表記を揃えることより、三つのアイテムそれぞれが身体に合っていることを優先しましょう。

場面別にベストが必要かを整理

場面 ベスト 考え方
普段のビジネス なくて問題なし ツーピースで十分
就職活動・面接 基本的になくてよい 一般的なリクルートスーツで問題なし
結婚式 あると華やか フォーマル度を上げたい場合に有効
パーティー 場面による スリーピースでドレッシーにできる
普段のおしゃれ 完全に好み 無理に着る必要なし

このように、ベストは多くの場面で「着てもよいが、なくても問題ない」アイテムです。特定のフォーマルウェアのルールが指定されている場合を除き、身体に合わないものを無理に着る必要はありません。

まとめ:胸板が厚くベストが合わないなら無理に着なくていい

スーツにベストは必須ではありません。通常のビジネススーツなら、ジャケット+シャツ+スラックスのツーピースで十分です。ベストはスリーピースを楽しみたいときや、フォーマル感を高めたい場合に追加するアイテムと考えるとよいでしょう。

痩せ型でも胸郭や胸板が大きい人は、SやMでは胸が閉まらず、LLでは胴回りが余ることがあります。これは体型と既製服の寸法比率が合っていないためで、単純なサイズアップでは解決しにくいケースです。

どうしてもベストを着たい場合は、胸が入るサイズを選んで胴回りをお直しする方法、あるいは胸囲とウエストを別々に調整できるオーダーベストを作る方法が適しています。

反対に、特にベストへのこだわりがなければ着用しなくてもまったく問題ありません。胸のボタンが閉まらない小さいベストや、身体の大部分がブカブカになる大きすぎるベストを着るより、身体に合ったツーピースをきれいに着るほうが自然で格好よく見えます。

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